多様性理解勉強会

DNPコミュニケーションデザインでは、人の多様性を理解し、コミュニケーションを基点としたユニバーサルデザインのあり方を研究しています。各界の多様な方々を講師としてお招きし、「多様性理解勉強会」を定期的に開催。ご講演・ディスカッションなどを通じて、さまざまな知見や気づきを深め合い、ユニバーサル社会の実現に向けて継続的に取り組んでいます。

第1回

講師

高橋純也様(全盲の視覚障害当事者)

プロフィール:小学3年生の時に、進行性の眼病「網膜色素変性症」と診断される。
2000年に企業に入社、2006年頃にはほぼ全盲となる。その後、視覚障害者向けのパソコン教室に通い、音声読み上げソフトでのパソコン操作技術を習得。
2007年からゴスペル、ブラインドサッカーを始め、勤務先のユニバーサルデザイン出前授業に参加。そうした中で、ユニバーサルデザインの考え方に共感し、ユニバーサルデザインコーディネーター資格を取得。現在は、そのスキルを活用して、障害による制限を感じることのない環境作りを目指し活動している。

高橋様とDNPコミュニケーションデザインのメンバー

テーマ

「できない」という思い込みについて

講義内容

  1. 選択肢を持つということ
  2. 視覚障がい者が健常者をサポートする
  3. 自分で行うことの利点
  4. 見る・読む方法
  5. 「できない」ということへの思い込み
  6. 誤使用によるリスク

受講者感想

我々(健常者)の勝手な思い込みで、目の不自由な方(障がい者)だからと言って「あれができない、これができない」などを決めつけてはいけないと思いました。
また、高橋さんと高橋さんの周りの方(特に奥さま)との関係・繋がりが素晴らしいなと感じました。
たくさんの気づきを得ることができたと思います。それらを活かして、みんなの良い関係溢れる社会を作っていけるように頑張りたいと思います。

第2回

講師

実利用者研究機構 岡村正昭様
山口智子様(聴覚障がい当事者)

プロフィール:5歳で中途失聴。補聴器と口話法を使って健聴者と同じ学校で学ぶ。大学で初めて聴覚障がいを持つ人々と手話に出会い、自身の障がいと生き方について向き合い始める。メーカーでインターフェースデザインに従事する中で、もっと人の役に立ちたいとユニバーサルデザインコーディネーターの資格を取得。現在は、作り手と利用者、健聴者と聴覚障がい者の両方の視点を持ちながら、フリーで活動中。

山口様と実利用者研究機構 事務局長 岡村様

テーマ

聴覚障がい当事者に聞く!印刷物の配慮について

講義内容

第1部:実利用者研究機構 岡村正昭様

  1. 一般的な聴覚障がいの方に山口さんがヒアリングした内容
  2. 山口さんの提供者の視点から、印刷物に配慮してほしいこと
  3. 聴講者(DNPの皆さま)の気付きや考えるヒントにつながるための日常生活での事例

第2部:山口智子様

  1. 聴覚障がいの子をもつ母親にヒアリングした印刷物の困りごとについて
  2. 印刷物で配慮してほしいこと
  3. 日常生活における聴覚障がい者当事者ならではの困りごとについて

受講者感想

日常だけでなく、緊急時の誘導方法や、そもそも案内するための印刷物がどこにあるかを案内すること、気づかせる方法が必要だと感じました。情報を伝達するだけでなく、情報にアクセスさせる方法、情報アクセスのしやすさについて、これからも考えるべきだと深く感じました。

第3回

講師

熊谷 晋一郎 先生

東京大学先端科学技術研究センター准教授
プロフィール:小児科医。新生児仮死の後遺症で脳性まひに、以後車いす生活となる。
東京大学医学部卒業後、病院勤務などを経て、現在は東京大学先端科学技術研究センター准教授。小児科という「発達」を扱う現場で思考しつつ、さまざまな当事者と共同研究を行う。

熊谷先生

熊谷先生とDNPコミュニケーションデザインのメンバー

テーマ

「当事者研究」について

[当事者研究]とは
障害や病気を持った本人が、仲間の力を借りながら、症状や日常生活上の苦労など、自らの困りごとについて研究するユニークな実践です。
当事者研究は統合失調症を持つ人々の間で行われ始め、徐々に、依存症や脳性まひ、発達障害など、さまざまな困りごとを持つ人々の間に広まりました。
熊谷先生は、当事者研究が持つ仮説生成と検証、グループ運営技法、回復効果という、3つの側面に注目し研究されています。

講義内容

  1. 医学モデルと社会モデル~障害とは?障害はどこに宿るのか?
    可変性に対する合理的配慮について
  2. 社会と障害の共変化
  3. 自閉症向けの社会のデザイン
  4. コミュニケーションデザインの変化の方法論について
  5. 当事者にとって当事者研究に参加することが治療になる

受講者感想

これまでの自閉症の研究は、当事者ではなく、その周りの人を対象とした研究が多かったということです。
当事者の周りの人目線の意見を参考にしていることから、社会とのズレが大きくなっていることを学びました。
また、自閉症の症状も新たに知ることが多かったです。例えば、健常者よりも、カテゴリーを細分化する傾向にあること、そしてそれは、当事者を、追い詰める要素も持ち合わせていることを知ったときには、深く考えさせられました。「コミュニケーションは人と人との間に生じる」。これまで、個人の人柄だけでコミュニケーションを円滑にできると考えがちでしたが、この言葉を聞いて、はっとしたと同時に、納得できました。コミュニケーションは一人では行えないのです。