多様性理解勉強会 第15回「情報のユニバーサルデザイン」
講師
同志社大学 政策学部 大学院 総合政策科学研究科
ソーシャルイノベーションコース 客員教授
株式会社ユーディット 会長兼シニアフェロー
関根千佳様
プロフィール:長崎県佐世保市出身 九州大学法学部法律学科卒。日本IBMにSEとして入社。ソフトウェアの開発を通じて、アクセシビリティ・ユーザビリティの重要性に目覚める。その後同社で、スペシャルニーズシステムセンターを開設、高齢者・障害者のIT利用技術について、年間数千件の相談に応じたり、新製品の企画・販売支援を行った。日本IBMから独立し、株式会社ユーディット(情報のユニバーサルデザイン研究所)を設立。デザインの初期段階から多様なユーザーを参加させるIT機器などの開発や、企業 や行政のアクセシブルなWeb構築のコンサルティングを始め、 高齢過疎化の進む地域社会の活性化や、誰もが自分らしく生きられる社会の在り方の提言をおこなっている。
同志社大学客員教授を務める他、内閣府(バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰選考委員会)委員、京都府、佐賀県、福岡市、神戸市などのユニバーサルデザイン専門委員も歴任。放送大学「情報社会のユニバーサルデザイン」の講師や、著書に『ユニバーサルデザインのちから』(生産性出版)、『「誰でも社会」へ~デジタル時代のユニバーサルデザイン~』(岩波書店)などがあり、ユニバーサルデザインの重要性を世の中に広く啓発している。
テーマ
情報のユニバーサルデザインが世界を変える
ーDesign for Each を実現するICT
講演内容
- Calm Technology-人々に寄り添うユニバーサルデザイン(UD)
- 日本は高齢化で世界のトップランナー
- 放送/通信/書籍…障がい者視点の気づきを製品に還元する
- ユニバーサルデザインを「配慮」から「前提」へ
- リハビリテーション法508条がもたらすUDへの一歩
- Born Digital = Born Accessible
- 障害者とテクノロジー会議(CSUN)にみるユニバーサルデザイン
- これからの日本に必要なICTのユニバーサルデザインとは
- 高齢化・オリンピックを契機としたUD概念の再構築
- Design for All からDesign for Each へ
- 「顧客の大半は情報障がい者」という前提
受講者感想
「UDを配慮でなく前提に」という言葉がこころに残っています。近年、日本でもさまざまな多様性に「配慮」したデザインが浸透してきましたが、それらは配慮という付加価値のまま止まってしまっているのではないだろうか……話をうかがう中、そう考えさせられました。
関根さんは、2020よりさらに先、2025年2050年…と、高齢者も、外国人観光客も、さらに増え、日本の大半が情報障害者になる、と警鐘を鳴らされており、UDトークやヤマハのSound UDなど、あらゆる人にとって便利な技術の開発・認知の必要性を強く感じました。私たち一人ひとりが、今一度UDを捉え方から見つめ直し、UDを「前提」にした在り方を目指すべきだと思いました。