株主とのエンゲージメントを高める「理想の株主総会」を追い求め続けて。時代とともに変化する株主総会、成功に導くサポートとは。

株主総会のプロ、山口の写真
▼語り手プロフィール
株式会社DNPコミュニケーションデザイン
第2CXデザイン本部
山口 浩司/Kouji Yamaguchi

DNPコミュニケーションデザイン(以下、DCD)では、企画・制作における、多くのコミュニケーションのプロが活躍しています。そうしたプロフェッショナルたちにスポットライトを当てる企画、題して「DーProfessional」。記念すべき第1回は、株主総会のサポートに取り組む、第2CXデザイン本部の山口浩司です。

【DーProfessional】への7つの質問

1.名前と社歴

山口浩司です。
2005年に入社してから今に至るまで19年間、株主総会をサポートするプロジェクトに携わっています。

インタビューに応える山口の写真

2.手掛けている業務

株主総会に必要な各専門分野のパートナーの力を結集し、企業様にとって望ましい株主総会の実施を支援する「DNP株主総会サポートサービス」を提供しています。部署の仲間とチームを組んで活動し、現在、年間100社ほどの株主総会をお手伝いさせていただいています。

2000年ごろまでの株主総会は、企業主導の形式的に行われる場であることが多かったのですが、2000年以降ごろから株主との対話を重視する「開かれた総会」の実施をめざす企業が増えていきました。加えて、コロナ禍以降は総会のオンライン化のニーズも高まり、コンテンツ制作や会場運営のための機器・備品手配などはもちろんのこと、配信の運用方法など、企業のご担当者様が検討すべき事項、業務は多岐にわたるようになりました

株主総会の変遷

私たちは、コンテンツやイベントの制作・運用にまつわる知見とノウハウ、専門的なスキルを持った技術者たちとのパートナーシップ、それらを統合してひとつのプロジェクトに昇華させていく「つなぐ力」を長きにわたり培ってきました。
この「つなぐ力」を活かすことで、ご担当者様の負担を軽減しながら、企業様にとって、実りの多い場とするためのサポートができると自負しています。

上:会場イメージ/下:サポートツールの一部

【株主総会を成功に導く7つのサポート】

  1. コンサルティング(ヒアリング&プランの提案)
  2. コンテンツ制作(事業報告・待機映像コンテンツ等の作成)
  3. 総会会場での上映・音響機器の運用サポート
  4. 議事・答弁支援機器の運用サポート
  5. 会場の運営サポート
  6. バーチャル株主総会のサポート
  7. 事後サポート

具体的には実施前のコンサルティングに始まり、その後は報告資料や開会前の待機映像などのコンテンツ制作、会場レイアウトのプランニングから備品の調達、上映・音響機器の準備、技術スタッフの手配、ディレクションまで、株主総会にかかわるさまざまなニーズに対応できるサポートメニューをご用意しております。また、事後サポートとして運営内容の振り返りや、他社動向などをまとめたレポート作成を行い、次年度に向けた動きも内包した循環型ビジネスモデルとしてサービスを展開しています。

3.譲れないこだわりは?

2つあります。1つは「クライアントに安心感を持っていただくこと」です。私たちにとってクライアントとなるのは、総務部の方々が大半です。よほど大きな企業でない限り、株主総会の業務のみを行っている方はおらず、日々の業務と兼任していることがほとんどです。ただでさえ多忙な中で、普段の業務では触れることが少ないイベントやコンテンツのディレクションをしなければならない……というのは、相当な負担だと思われます。

そこで、初めのコンサルティング時のみならず、準備期間中も「どんな不安があるのか、具体的に何に困っているのか?」を丁寧に聞くこと、そういったちょっとしたモヤモヤでも話しやすいような関係性を築けるように心がけています。当日問題なく進行するのはもちろん、その前後のプロセスでも安心感を持っていただくのが、この業務においてはとても大事なことですね。

緻密に設計された会場図

もう1つは「先を見て1歩踏み込んだ提案をすること」です。株主総会は「コーポレートブランディング」の活動のひとつとしてとらえることが大事だと考えております。
株主というステークホルダーが集まる場だからこそ、うまく企業側のメッセージや取組みを伝えられたら、応援してくれるファン株主を増やすことができる。それに、従業員に向けたインナーコミュニケーションとして機能するポテンシャルも持っています。

実際、クライアントからの相談は「手が回ってないから手伝ってほしい」といった話からスタートすることがほとんどで、最初からブランディングを意識した話が出ることはあまりありません。ただ、さまざまな検討を進める中で、事例等を交えて「コーポレートブランディングの一環としてこんな施策も打てますよ」とプラスアルファのお話もさせていただくと、「そういう視点はなかった」「それならこんなこともできますか?」と、ご興味を持ってくださるんですね。そういった瞬間は、私たちのサービスの価値を感じます。

会場設営時、技術スタッフと機材確認を行う山口

4.クライアントから言われてうれしいことは?

例えば、クライアントのご担当者様から「広報の人が困っているから、紹介していい?」とご相談いただけた時ですね。それまでの仕事ぶりを評価してくださって、私たちをコーポレートブランディングにおける「コミュニケーションをデザインするプロ」だと認識してもらえたからこそ、そうした声をかけてもらえたんだろうなと感じています。

ほかにも、株主総会のサポートを相談されたとして、会社紹介や商品紹介コンテンツ等の作成、説明会等のほかのイベントのご相談につながるのもうれしいですね。もちろん、株主総会が滞りなく終わった後で「助かったよ」と言っていただけるのもありがたいですが、それは最低限の責務だと思います。株主総会とは違った課題について「実はこういう悩みがあるんだけど……」と話してもらえるのは、信頼していただいている証しでもあると思うので、とてもうれしく感じますね。

インタビューに応える山口の写真

5.業務上で設定するKPIは?

定量的に設定するのが難しいところもありますが、定性面について言えば、まず大事なのはクライアントの肌感で「準備段階での負荷は想定通り軽減されたか、当日の株主総会は滞りなく進行できたか」といった要素ですね。また、株主をはじめとしたステークホルダーからのご意見など、リアクションも大事だと思います。

6.今後の課題、挑戦について

これからの株主総会は、リアルとバーチャル双方の良さを生かした「ハイブリッド型」が重要になると見込んでいます。そうした未来を見据えて、株主総会のオンライン化について、よりスムーズかつ高いクオリティで対応できるようにしていきたいと思っています。例えば、遠方にお住まいの方など、何らかの理由で会場に行くことが困難な方々に対して、リアルでの参加と遜色のない体験を提供するにはどうしたらいいか……といった点についても、技術の進歩を踏まえて積極的に考えていきたいです。

一方で、リアルの場の価値は変わらず、大切にしていく必要があるとも感じています。コロナ禍以降、株主総会に限らず、さまざまなコミュニケーションの選択肢としてオンライン化が加わりました。もちろんオンライン化によるメリットはたくさんありますが、「人と人が直接顔を合わせて話す」というリアルの価値は変わらないと思います。
多様なステークホルダーに対して、常に時代に合わせたコミュニケーションの選択肢を用意することが大切だと考えております。

株主総会は、企業にとって重要かつ失敗できない、最高意思決定機関となる会議であるとともに、ファンを醸成する機会でもあります。例えばファン感謝祭やフェスのような要素があってもよいと思います。これからも時代に合わせて、企業と株主が相互理解を深める起点になるような株主総会のサポートを、模索していきたいと思います。

7.あなたにとってプロジェクトの成功とは?

株主総会が終わった後、クライアントに「ありがとう、来年もよろしくね」と言ってもらえることです。ただ、本質は「企業ブランドの価値向上」であり、終わりのない道だと思っています。そのため、クライアントと一緒に「よりよい株主総会とは?」「よりよいブランドコミュニケーションとは?」と考えながら、日々、真摯(しんし)に試行錯誤を続けていきたいと思います。

  • 2024年5月時点の情報です。

株主総会サポートの情報は以下のWebページでも公開していますので、ぜひご覧ください。

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