「パッケージに彩りを」 ― 株式会社シズトク様の企業価値を再定義したリブランディングとは?

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Webサイト、会社案内、動画、SNSなどの企業が発信する制作物が統一感を欠き、バラバラな印象を与えてしまう―。こうした課題は多くの企業が抱える共通の悩みです。ひとつの媒体・制作物の見直しをきっかけに、俯瞰(ふかん)的な視点で課題をとらえ直すことで、企業の真の価値を伝える包括的なリブランディングへと発展させることができます。

本記事では、パッケージ商社である株式会社シズトク様(以下、シズトク様)のリブランディングプロジェクトを担当したDNPコミュニケーションデザイン(以下、DCD)のディレクターが、ひとつの制作物の見直しが、包括的なリブランディングへと発展した経緯と、BtoB企業のリブランディングにおけるポイントについて語ります。

1. 個別の課題の背景に潜んでいた「リブランディング」の必要性

今回のシズトク様の案件は、どのような依頼から始まったのでしょうか?

最初に相談があったのは、Webサイトのリニューアルと会社のPR動画制作の依頼でした。前年に当社がシズトク様の採用促進のためのPR動画を制作しており、そのご縁からお声かけいただいたんです。

当時、シズトク様が感じていた最大の課題は「採用のPR動画とWebサイトのトーンアンドマナーが異なることによる違和感」でした。採用動画は就活生をターゲットにしていたためフレッシュな印象だったのですが、それと比較すると当時のWebサイトは5年前に制作したものであり、少し古く見えてしまう感じがしました。そのギャップを解決しつつ会社の発信力を高めたい、というのが主な要望でした。

その課題感に対して、単純にWebサイトのリニューアルを請け負うのではなく、包括的なリブランディングの提案をされたそうですが、その理由を教えてください。

クライアントにヒアリングをしてみると、内製で制作していた会社案内なども含めて、社内にあるさまざまな発信ツールが異なるタイミングで作られていて、統一感がない状況だということが把握できました。個々のツールごとにトーンアンドマナーを調整するのではなく、会社のメディア全体の方向性を整理して揃えていくほうが、より効果的なコーポレートの発信につながると判断して、全体のリブランディングを提案しました。

最終的な提案はコンペの場で行いましたが、こちらの提案に対してクライアントも納得していただけました。ブランドを再定義するプロセスと、そこから展開するツール全体の再設計の構想を示したことで「リニューアル実施後の姿が想像しやすかった」と評価をいただき、当社にお任せいただけることになりました。

リブランディングを提案した際の資料「今回のリニューアルの役割と考え方」

2. 「彩り」をキーワードに、トレンドを押さえてWebファーストな設計を意識

リブランディングの方向性は、どのように決めたのでしょうか?

企業の理念や哲学を深く理解するために、パッケージの商社であるシズトク様にとっての「パッケージとは何なのか」「自社の本質的な価値はどこにあるのか」「競合との違いは何なのか」といった部分を、深く掘り下げながら言語化していきました。

そのプロセスを通して、単純に「ものを包む・守る」という機能だけでなく。そこに「デザイン」という要素を加えて、商品価値の向上に努める点にシズトク様の独自性や本質的な強みがあると考え、リブランディングのコンセプトの軸として「彩り」という言葉を提示しました(※)。

リブランディングを提案した際の資料「ブランディングとは」
  • 注釈「彩り」をコンセプトにリニューアルしたシズトク様のWebサイトは、こちらからご覧ください。

また、全体のリブランディングのコンセプトとは別に、企業の理念を伝えるコンテンツのひとつとして「シズトクスピリット」というコンテンツを追加提案しました。これまでの制作過程で、シズトクの社長様とさまざまなやり取りをしてきました。その中で感じた社長様の事業にかける熱い想いをベースに、「シズトクらしさ」を内外に印象づけるメッセージを、「彩り」というコンセプトと絡めながら作成したんです。これは本来のスコープ外の制作でしたが、シズトク様にはとても気に入ってもらえて、会社のWebサイトでは「シズトクリエイトとは」(※)として掲載することになりました。

リブランディングを提案した際の資料「シズトクスピリット」
  • 注釈シズトク様らしさを打ち出した「シズトクリエイトとは」は、こちらからご覧ください。

そこから、各ツールで具体的にどのような制作を展開したのですか?

制作に入る前に、各ツールの役割の整理を行いました。「SNSなども始めたい」というオーダーを伺っていたので、それぞれのツールがどのような立ち位置で、どういう発信をするべきかをまとめました。

各ツールの役割を整理した後に、紙の会社案内からWebサイト、各種PR動画の制作に取りかかりました。会社案内は「情報量を多くしてもすべて読まれない」という前提で、Webにコンテンツを移行しつつ導線を強化し、ページ数を減らす方向性で制作しました。

Webサイトは、昨今のWebのトレンドを意識しながら「短時間で簡単にわかるコンテンツ」と「読んで理解を深めるコンテンツ」の両方を拡充して、すべての情報の集約地となるように再設計しました。今までのコンテンツの並べ直しではなく、シズトク様のお客様が「どのようなニーズでサイトを訪問するか」「どのような思考の流れで発注までの意思決定をするのか」を想定し、それらに的確に訴求できるような追加コンテンツの制作を提案していきました。

PR動画については、WebサイトのTOPに掲載する「ほぼ1分でわかるシズトク」などを中心に4本の動画を作成しました。会社の営業ツールになるコンテンツという位置付けで、短く簡潔に作ることを意識し、イラストやインフォグラフィックスを活用し、音がなくても画を見るだけで内容をイメージできるような作りにしました。

3. アウターとインナー、両面からのアプローチがもたらす企業の統一感

リブランディングの制作プロセスにおいて、インナーブランディングの要素はどのように取り入れられたのでしょうか?

具体的なコンテンツの制作に入る前に「アウター向けのブランディングを考える上で、インナー向けの施策も同程度に重要だ」という提案をしていました。制作プロセスの中で自然とインナーブランディングにも寄与できるような施策になるよう、「クリエイティブパワー」と題したブランディング動画の制作に社員の皆さんに関わっていただいたんです。

このパラパラ漫画のような映像にはパッケージが100個以上出てくるのですが、実はシズトク様がこの動画のためにオリジナルで制作したものです。若手社員の方々にも協力していただき、デザイン制作からパッケージの組立て、さらには撮影当日のサポートもしていただきました。動画の制作に関わってもらうことで、社員の皆さんに自社の強みを再認識してもらうことなどが目的でした。

結果として、現場を見る限りでは狙った効果が出ていたように感じられました。デザイナーの皆さんは普段の業務に加えての制作でとても大変だったと思うのですが「普段のクライアントワークではなかなかできないような表現にも挑戦できて楽しかった」とコメントをいただけました。また、集まってもらった若手社員の皆さんにとっては、自社の提案力や表現力を目の当たりして、自社のスゴさや強みを再確認した場になったのではと思っています。

動画:【株式会社シズトク】クリエイティブパワー(0:19)

4. 幅広く、網羅的な対応力に自信あり

リブランディングにもとづいた各ツールの制作が完成した後、クライアントからはどのような評価をもらいましたか?

シズトク様の社員からは「ツール全体に統一感が生まれて、なによりコンテンツがわかりやすくなった」と言ってもらえました。また、シズトク様もお客様から「今までのイメージと180度変わった、いい意味でビックリした」といったコメントをもらっていると聞いています。

今回のプロジェクトにおいて、DCDだからこそ発揮できた強みはどこにあったと思われますか?

クライアントが認識する目の前の課題を打ち返すだけではなく、もっと根本にある課題に目を向けて、そこを解決するための提案を的確にできる点だと思います。潜在的な課題を発見して解決に導く提案力は、コーポレートコミュニケーションやブランディングの設計に上流から関わってきた経験が豊富なDCDならではの強みだと感じています。

あとは、幅広いツールに対応できる技術力ですね。DCDには各制作の分野に精通したプロフェッショナルがいるからこそ、リブランディングのような大がかりなプロジェクトでも、広く網羅的にさまざまなメディアの制作に対応できます。

今後、どのような課題感を持っているクライアントにリブランディングの相談をしてほしいですか?

自社の発信やブランディングにおいて、具体的な課題までは見えていなくとも「何かしらの改善をしたほうがいいかな」という意識はある……そんなぼんやりとした状態からでも、ご相談いただきたいですね。

漠然とした課題感でも話を聞かせてもらえれば、「こういうところが課題になっているかもしれない」という仮説を立てつつ、今まさに必要な具体的な施策の提案に至るまで、丁寧にサポートすることができます。ぜひ、まずは気兼ねなくご連絡をいただけたら幸いです。

  • 注釈2025年12月時点の情報です。

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