紙からWebへ、情報資産を活かして一貫したブランド体験をつくる ― アテニア様と進めるクロスメディア戦略

株式会社DNPコミュニケーションデザイン
第1CXデザイン本部 野尻 鈴香/Suzuka Nojiri(写真右)
第3CXデザイン本部 八木 智子/Satoko Yagi(写真左)
40歳をコアターゲットに化粧品事業を展開する株式会社アテニア(以下、アテニア)様では、会員向けに情報誌(カタログ)を発行し、エイジングケアを中心とした情報発信を行っています。DNPコミュニケーションデザイン(以下、DCD)は、この情報誌の編集を長年にわたり担当してきました。
近年、アテニア様の事業展開に合わせて、DCDはデジタルメディアにも領域を広げ、複数の販促施策を一括して担う体制を構築。媒体を横断した一貫性のあるブランド表現と、効率的な制作プロセスの実現に向けて取り組んでいます。
本記事では、アテニア様の販促施策のディレクションを担うDCDの野尻鈴香と八木智子が、アテニア様との協働の経緯や各媒体の連携によるクロスメディア戦略の可能性について語ります。
1. 10年以上の情報誌編集で培った信頼関係から広がる、多様な販促施策
まず、アテニア様との関係性について教えてください。
野尻:アテニア様は1989年に創業したエイジングケア専門ブランドです。ほぼ毎月、会員向けに情報誌を発行しており、DCDは10年以上にわたって、この情報誌の編集を担当してきました。毎年、先方のご要望やお客様の動向などを丁寧にヒアリングしながら、世の中のトレンドを踏まえて情報誌の打ち出し方について提案しています。
そして、情報誌の編集で培った実績や信頼関係を基盤に、DMや商品同梱リーフレットなどのリアルメディア施策を中心に販促ツールの企画・制作も担っています。さらに近年は、特設サイト制作のご依頼をきっかけに、Webサイトやメールマガジン、LINEでのコミュニケーションを組み合わせ、顧客接点全体を見据えた多角的な販促施策のご支援を行っています。

長年担当している情報誌ではどのような点に配慮していますか?
野尻:私たちが担当する情報誌は、アテニア様と密にコミュニケーションを取りながら、通販という“実物が見えない環境”でも商品の魅力が手に取るように伝わることを最優先に設計しています。お客様が「どんな商品なのか」「自分にどんな効果があるのか」を直感的に理解できるよう、ビジュアルやコピーは常にアップデートし、よりわかりやすく魅力的な表現を追求しています。
そして、私たちが大切にしているのは商品の訴求だけではありません。“美容提案”によって、お客様の想いや悩みに寄り添うコンテンツをしっかりと届けることです。そこにブランドメッセージが自然と宿り、読み手に「このブランドは私を理解してくれる」という信頼感を生むと考えています。そのうえで、商品理解を深めるための情報設計や見せ方の細かい工夫が、日々の制作において重要なポイントとなっています。
また、化粧品を扱う媒体として、さまざまなルールに配慮することも重要です。薬機法(医薬品、医療機器などの品質、有効性及び安全性の確保などに関する法律)への対応はもちろん、ブランドのルールとして商品の色味の調整に制限があることなど、細かな規定があります。日々情報をキャッチアップしながら、それらをすべて問題なくクリアできるように、入念なチェックも行っています。

2. 情緒に寄り添った特設サイトのリニューアル、リアルメディアチームとの連携で高いクオリティに
DCDがアテニア様のWebサイトを担当することになった経緯を教えてください。
八木:2024年10月に『スキンクリア クレンズ オイル』特設サイトリニューアルのコンペに参加し、DCDにお任せいただけることになりました。その後、この特設サイトのクオリティが高く評価され、ギフトとしての活用を促すギフトサービスページやアットコスメ(@cosme)ベストコスメアワード「総合大賞」受賞記念ページなどもお任せいただき、近年ではデジタルマーケティング領域での取組みが広がっています。

- 注釈 『スキンクリア クレンズ オイル』特設サイト こちらをご覧ください。
リニューアルした特設サイトは、どのような点が評価されたのでしょうか?
八木:最初の提案では「もう少し踏み込んだ、尖ったデザインが見たい」とご意見をいただきました。要件は満たしていても、アテニア様らしさや商品の体験価値が伝わり切っていないことが原因だったかと思います。
そこで、「商品の一番強い価値はどこにあるのか」「使用することで、誰にどんな気持ちになってほしいのか」という点について改めて対話を重ねたところ、『スキンクリア クレンズ オイル』を使用することで得られる癒やしや労わり、香りによる非日常感を大事にされているのがわかりました。商品の本質的な価値「香りの魅力と上質感」を表現するため、叙情的で情緒に寄り添うデザインを追求したところ「これだ!」と言っていただけました。

特設サイトのリニューアルにおいて、情報誌やDMなど、紙媒体を制作するリアルメディアチームとはどのような連携をしましたか?
八木:新しく組成したWebサイトやオンライン施策を中心としたデジタルメディアチームは、リアルメディアチームから化粧品業界の知識的な面や過去の制作時に培った知見を共有しながら進めていました。
特に、先ほど野尻が説明した化粧品特有のルールなどは業界にいないと知らないことが多く、リアルメディアチームが蓄積してきた「表現NG/OKの判断」「写真素材・商品コピー」「色味のチェック方法」なども制作前に丁寧に共有してもらいました。
媒体間で連携を取りながら、基本的なコピーやデザインのトンマナもしっかりと足並みを揃えられたので、ブランドとしての世界観を守りながら、短期間でもクオリティの高いサイトに仕上げることができたと自負しています。加えて、Webならではの表現を追求できたことも、継続的なご相談につながっているのかなと感じています。
3. クリエイティブの統一と全体最適へ。媒体を横断して管理する体制を構築
アテニア様の事業展開に合わせて、直近でどのような課題や要望がありましたか?
野尻:昨今の化粧品業界は、韓国コスメの参入などの影響でブランドの幅が広がり、デジタル化によって購買の仕方も多様になっています。こうした市場の変化に対応するべく、アテニア様でもさまざまな部署で施策を検討され、訴求の方法も多岐にわたっています。
DCDは長年にわたってアテニア様のブランドの伝え方や販促部分を、業界全体を見ながら一緒に担ってきました。そしてリアルメディアとデジタルメディアの両方で制作の場が広がっていることから、パートナーとして複数の販促施策を取りまとめる役割、「情報の共有や各施策への対応をより一気通貫でできる体制づくり」を期待されました。
八木:こうした状況を受けて、現在DCDでは、リアルメディアとデジタルメディアそれぞれでチームを組み、アテニア様の施策を領域ごとに専門性をもって推進できる体制を整えています。そのうえで大切にしているのは、アテニア様の直近の課題や事業方針の変化に沿って、各施策の狙いと表現を上位で連携し、最終成果物として一貫性のある形に落とし込むことです。 そのためにも、私たちのようなプロマネが各チームを包括的に束ねています。
2025年にはアテニア様のブランドのタグラインが「上質を、解放する。」に刷新され、ブランド訴求の打ち出し方も変化していますが、こうした運用設計を通じて、販促活動の全体を相互に補強し合える状況をめざしています。
4. 「+α」を生むクロスメディア戦略をめざす
今後、アテニア様との取組みをどのように発展させていきたいですか?
八木:体制の変更から約1年が経ち、媒体間の連携が円滑に機能し始めています。今後は、各媒体におけるブランドの世界観の統一はもちろん、各媒体で生活者の行動や接点に合わせて最適なタイミングで、最適な情報提供をしかけていきたいです。各媒体間の連携の精度をさらに高め、生活者のブランドへの理解と共感を深められる体験を継続的に提供することで、LTV(顧客生涯価値)の最大化に一層寄与できるよう努めてまいります。
野尻:企業としてアプローチするべき媒体が増えていく中、こうした複数の媒体を束ねた一元的な管理・制作・運用のスタイルは、これからのスタンダードになっていくと思います。単独の媒体ではできなかった「+α」の提案を積極的に行って、数値的な効果もしっかりと感じていただけるように、全体をマネジメントしていきたいですね。

最後に、複数の販促施策の一元化を検討されている方々へメッセージをお願いします。
野尻:DCDには販促における各媒体の特性を熟知したプロフェッショナルが多く在籍しています。単に複数の媒体を制作するだけでなく、情報資産を一元管理しながら、それぞれの媒体特性を活かした最適な施策をご提案できます。
八木:それに加えて、コーポレートブランディングの観点を押さえ、各媒体でバラバラに施策が展開されるような状況を取りまとめ、全体最適な視点で効果的な販促活動になるサポートします。
中長期的な視点で本質を捉えた施策改善に取り組み、信頼関係を築きながらクライアントの事業成長を支援してまいります。まずは、ぜひお気軽にご相談ください。
- 注釈2026年3月時点の情報です。