「神は細部に宿る」を体現する。超大規模のWeb案件を成功に導くプロジェクトマネージャーの流儀

株式会社DNPコミュニケーションデザイン
第3CXデザイン本部
大丸 寛人/Hiroto Daimaru
DNPコミュニケーションデザイン(以下、DCD)では、企画・制作における、多くのコミュニケーションのプロが活躍しています。そうしたプロフェッショナルたちにスポットライトを当てる企画、題して「D-Professional」。今回は、大規模なWebサイトの新規構築やリニューアル案件を数多く手掛けるプロジェクトマネージャー(以下、PM)、大丸寛人です。
【D-Professional】への7つの質問
1. 名前と社歴
未経験からスタートし、1,000ページ超の大規模案件を手掛けるまでに
大丸寛人です。2008年に中途採用でDNPデジタルコム(現在はDCDに統合)に入社し、Webディレクター業務に従事しました。2013年頃には、1,000ページを超える大規模なWebサイトのリニューアル案件のPMを経験。以降は予算規模が非常に大きく、関わる人数も数十人に及ぶ大型のWebサイト改修のPMを主な業務として担ってきました。10年以上のキャリアを経て、ありがたいことに指名で入る案件も増えています。
2. 手掛けている業務
要件定義から運用まで ─ プロジェクト全体を俯瞰する「つなぎ役」
PMの業務は、大きく「受注前の提案内容の調整」「受注後の要件定義の策定」「制作中の進行管理」の3つのフェーズに分けられます。まず受注前には、クライアントからの要望をどのように具現化するか検討します。社内メンバーや協力会社に相談して技術的な裏付けを取りながら、提案内容を固めていきます。
受注後の要件定義では、コンテンツやシステム、インフラ、運用面などのあらゆる要素を俯瞰して、それぞれのパートで取り組むべきタスクを洗い出していきます。要件定義の合意が取れたらマスタースケジュールを作成し、サイト全体の情報設計を先行して進めます。
具体的な制作段階に入ったら、各担当者がスムーズに作業できるよう調整するのが中心業務になります。クライアントと制作・開発メンバーの双方から課題が挙がってくるので、それらを整理・調整しながら解決していきます。課題管理、リスク管理、コスト管理を継続的に行い、開発が終わったら品質を担保するためのチェックを経て、リリースまで見届けます。
PMとしてとくに気を配っているのは「要件定義の網羅性」です。制作が始まってから「やることの漏れ」が発覚すると、作業者にとっては追加オーダーとなり、負担が増えてしまいます。そうならないように、細心の注意を払って要件定義の詰めを行っています。プロジェクトの規模にもよりますが、数カ月間かけて丁寧に、クライアントと実働チームの合意形成を図っていきます。

3. あなたの強みは?
制作・システム・インフラ ─ DNPグループだからこそ培える「幅広い視野」
元々は現場寄りのWebディレクターだったこともあって、制作のことはもちろん、サーバーなどのシステム周りの知識もあります。Webコンテンツ制作、システム、インフラといった各領域の担当者と協働しながら案件を進めてきたので、それぞれの現場の実態をある程度理解した上で、PMとしてプロジェクト全体のバランスを適切に調整できるのは、自分の強みだと感じています。
また、さまざまな人たちとコミュニケーションを取る中で「相手の目線に合わせて伝える技術」は、かなり磨かれたと思います。クライアントにはITやWebに詳しい方もいれば、そうでない方もいます。社内でも人によって知識差、経験差があります。それぞれの背景をおもんばかって、相手が理解しやすい言葉で説明することを心がけていますね。ただ、口頭で話すだけだと認識の齟齬が起きやすいのも事実です。なので、要所要所で視覚的にわかりやすい資料を作成し、それを見せることでしっかりと合意形成をするようにしています。
4. 譲れないこだわりは?
「神は細部に宿る」 ─ ユーザー視点で見る文字チェックへの執念
サイトに掲載される文章のチェックは、毎回かなり細かくやっています。メインコンテンツのテキストはもちろん、Web会員登録フォームの注意書きや、入力指示の文言などもわかりにくいと感じたら、どんなに些細な部分でも修正の検討をお願いしています。
PMは全体を俯瞰する立場なので、ここまでテキストの細部を見る必要はないのかもしれませんが、「いかにユーザーが気持ちよく使えるか」という部分については、個人的に違和感を残したくないんです。たとえば、どんなに外観や内装がキレイな飲食店でも、テーブルの隅にほこりがたまっていたりすると、客としては気持ちよく食事ができないですよね。そういう細部にまで配慮が行き届いていることが、全体としてのクオリティを高めるために不可欠だと思っています。
5. この仕事の醍醐味 (だいごみ)は?
大きな課題を乗り越えた瞬間に感じる「PMならではの達成感」
PMの真価は、なにか課題が発生したときに試されます。もちろん大前提として、問題が起きないように進行はしますが、100%すべてが計画通りに進むことはまずありません。そこで、クライアント・社内メンバー・協力会社の「つなぎ役」として立ち回り、代替案の提示と関係者間での合意形成を進め、プロジェクトを本来の軌道、もしくはより適切な軌道へ導けたときに、PMだからこその仕事ができたな、と実感します。
6. 今後挑戦していきたいことは?
グローバル案件への対応力を高めつつ、継続的なユーザビリティの改善を
これから力を入れていきたいと考えているのが「多言語対応」と「ユーザビリティの向上」です。
前者については、人口の減少、国内市場の成熟などの社会背景を受け、企業のグローバル化の動きが一層強まっています。そのため、Webサイトでもグローバル化の対応を求められる案件は間違いなく増えていくでしょう。2026年2月にリリースしたDNPのグローバルサイトのリニューアルプロジェクトにもPMとして携わっており、現場でさまざまなノウハウを培えたので、それを生かしてさらに対応できる案件の幅を広げていきたいです。

後者については、2018年から取り組んでいたDNPのコーポレートサイトのリニューアル以降、かなり注視してきた分野です。一口にユーザビリティといってもさまざまな観点があり、すべてを理想的に整えるのは難しいんですよね。実際の運用にかかる負担とのバランスをふまえて、継続的な調整が必要です。
DCDには運用時のアクセス解析ができる部署もあり、初期のサイト構築に限らず、制作から運用まで広く全体を見ることができます。一気通貫でできることは、当社の強みだと思っています。
- DNPサイト全体のアクセス解析を担当しているウェブ解析士・DCD加藤の記事はこちらをご覧ください。
「GAを入れただけ」では見えないユーザー(訪問者)の本音 ― 数字の向こう側にある「確かな改善」を見つけ出すウェブ解析士
DNPのコーポレートサイトでは、ユーザビリティの継続的な改善に取り組み続けた結果、トライベック株式会社「Webユーザビリティランキング2026〈企業サイト(PC)編〉」では、全15業界・150サイト中2位を獲得するまでに至りました。こうしたユーザビリティ向上に対するニーズは業界を問わずあるので、関心のある企業の力になれるよう、提案時にもしっかり訴求していきたいと考えています。

7. あなたにとってのプロジェクト成功とは?
「みんなでやりきった」という満足感こそが、真の成功
個人的に、プロジェクトの成功と失敗を明確に評価することはあまりないかもしれません。強いて言えば、Webサイトがリリースされ、その上でプロジェクトに関わっているメンバー全員が「みんな力を出し切れたね」と言える状態が成功だと考えています。
大規模なプロジェクトであればあるほど、コストもスケジュールも品質も厳しい制約の中で進めることになります。そんな状況下でも、ギリギリまで手を尽くして「これが全力投球で最後までやり抜いた成果だ」と言えるものをつくることが大事です。何かやり残したり、やり切れなかったりした気持ちがあると、終わったあとに心から喜べないような気がします。
これからもPMとして、クオリティの高いサイトを提供することでクライアントの課題解決に貢献することはもちろん、関わる誰もが「いい仕事をしたね」とたたえ合えるような環境をつくっていけるよう、視野を広く持って業務にあたっていきたいです。
- 注釈2026年4月時点の情報です。